肥満症の外科治療が始まって、60年になろうとする現在、世界で年間約34万例の手術が行われるようになりました。しかしこの驚くべき手術症例数に至ったのは、この10年ほどのことで、背景には、世界中の高度肥満者の増加と腹腔鏡下手術の進歩のためといっても過言ではないでしょう。
高度肥満症患者の病態の深刻さとその治療の難しさのために、それらの科学的、臨床的傍証を主題として進めてきたIFSO(International Federation of Surgery for Obesity)の役割は非常に大きなものがあります。IFSOは毎年世界各国で開催されてきましたが、この急速な広がりに対応するために、世界4地域に部会を設立し、北アメリカ部会、ラテンアメリカ部会、ヨーロッパ部会に続き、アジアパシフィック部会(APC)が2年前に発足しました。
2年毎に開催されるIFSO-APC学会ですが、このたびは雪の季節、北海道で行われます。アジアオセアニア各国にとっては、魅力的な場所であり、季節もベストです。会場のルスツリゾートホテルは、サミットのプレスセンターを務めた関係で、施設、環境、設備、料理などすべてに海外からの来訪者に喜ばれるようになっており、歓迎体制は整っています。各国からのアクセスも良く、外科医や手術スタッフだけでなく、内科医、精神科医、麻酔科医など肥満症治療に係わるすべての医師、看護師、栄養士、運動療法士などに各々興味あるセッションが用意されます。今回の学会のメインテーマには、「高度肥満症患者に対する外科治療を含む集学的治療」を掲げましたので、各々の領域からの積極的なご参加をお待ち致します。
高度肥満に対する治療として、現在、海外では年間30万件を超す手術が行われており、外科治療が大きな治療選択の一つとなっております。わが国における肥満外科治療は30年前に開始されこれまでに長い歴史がありますが、欧米に比べて手術症例数が少なく普及していませんでした。最近になってメタボリック症候群が社会的に注目されるにつれて、重症肥満に対する治療にも関心が高まっています。重症肥満に対する治療は外科的な専門性の他にも多くの医療者が恊働し総合的に取組む必要性がありますので、その目的で日本肥満症治療学会が設立され、その外科部会としてJSSO(Japanese Society for Surgery of Obesity and Metabolic Disorders)も同時に発足しています。
この度、2011年2月に第2回学術集会を日本で開催する事になり、2011年2月に北海道のルスツリゾートホテルを会場として、ISFO-APC とJSSOが共同開催ということになりました。 海外からのIFSO-APCメンバーの方に加えてわが国の肥満外科治療を担う方々にも大勢参加していただき、世界の情報に直接接し相互の意見交換を深めることが今後の発展の礎になることを期待しております。